スバル、ブレーキ検査も不正 燃費改ざん1900台に
SUBARU(スバル)は28日、国の定める基準を逸脱した完成車検査を行っていた問題で、社外の弁護士などによる第三者委員会の報告書を公表した。車の安全の根幹にかかわるブレーキの検査で初めて不正が見つかった。排ガス・燃費値を測る試験でも数値の改ざんが約1900台に拡大した。ただ調査の多くが聞き取りに頼っており、不正の全容は解明できなかった。
同日午後に本社(東京・渋谷)で中村知美社長が会見し、不正の概要を説明した。中村社長は「不正行為は社内規定に反しており全く許されるものではない」と話した。品質面では全ての不正で「保安基準を満たすと確認できた」と述べたが、リコール(回収・修理)については「該当するか否か断定はできない。国土交通省に相談してきちんとした対応を取りたい」と話すにとどめた。
報告書によると、全ての車を対象に実施する「全量検査」でも不正が見つかった。主にブレーキ制動や速度計の動作確認など4項目で作業手順の逸脱など不適切な検査があった。
例えば、ブレーキの働く力を確認する際、ブレーキペダルを踏むと同時にハンドブレーキも引いていた。ハンドルを切った角度の検査時に、直進の状態にすべき検査を左右にずれたまま実施していた。数値など客観的なデータが保存されておらず、不正の期間や台数は割り出せなかった。
燃費・排ガス測定で問題のあった車両は6月の不正公表時に確認していた1500台超から増えた。燃費値や排ガス値に加えて、試験時の湿度と速度の逸脱時間などの数値も改ざんしていた。記録の残る2012年10月以降では、数値の改ざんだけで全体の3割弱に達した。一部の不正は遅くとも1990年代前半から行われた可能性が高い。
報告書は弁護士など第三者に作成を任せた。報告書では不正の主因について「職責より社内力学や営業的観点からの忖度(そんたく)や配慮を重視」する社内風土を挙げた。実際に、検査の不具合を是正するための書類を組織的な調整の上、意図的に発行しないなどの事例が報告された。
スバルでは再発防止策として、新たに外部人材の登用による検査業務の再構築や検査部門の組織改編を盛り込んだ。
国交省は車の保安基準に違反する可能性もあるとして、リコール指示も含めて対応を検討する。
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