住宅ローン事業のイエール、6億6000万円調達
住宅ローン関連サービスのiYell(イエール、東京・渋谷、窪田光洋社長)はベンチャーキャピタル(VC)や金融機関から総額約6億6000万円を調達した。調達資金でIT(情報技術)を活用した住宅ローン業務の効率化を進め、国内金融機関や不動産会社向けの事業を拡大する。海外進出の準備も始める。
VCのグローバル・カタリスト・パートナーズ・ジャパン、SBIインベストメント、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施した。併せて金融機関からの借り入れも行ったが、増資と借り入れの内訳は非公表としている。
2016年5月に設立されたイエールは金融機関や不動産会社の住宅ローン業務を支援する。電話対応を代行して顧客に最適な住宅ローン商品や返済計画を提案したり、人手による審査の不備を点検したりしている。18年4月からは不動産会社の住宅ローン業務を効率化するスマートフォンアプリを開始、国内200店舗以上に提供する。人工知能(AI)によるチャットで住宅ローンの相談に乗るシステムもつくり、複数の地方銀行が導入を検討しているという。
今回の調達資金は各サービスに共通して使われるシステム基盤の強化に充てる。従来は手作業で入力していた住宅ローン情報の収集を自動化する機能を開発。不動産会社向けアプリを強化する。住宅購入者は不動産会社を経由して住宅ローンを探す人が多く、不動産会社との関係を強化することで新規案件を獲得しやすくなるとみている。
現在の従業員数は85人。開発力強化のためITエンジニアを増やす。海外展開の地域は未定だが、「これから住宅ローン市場が整備される東南アジアを視野に入れている」(同社)という。株主のVCとも連携して、19年中にも具体的な進出地域を決める予定だ。