日朝、3年ぶり外相会談 首脳対話探る
【ニューヨーク=地曳航也】河野太郎外相は26日昼(日本時間27日未明)、ニューヨークの国連本部で北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相と会談した。日朝外相会談は約3年ぶり。安倍晋三首相が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との会談に意欲を示しており、日本人拉致問題の解決につながる対話が実現するかどうか探る狙いがあったとみられる。
会談は約20分間で着座した形で開かれた。河野氏が会談後、記者団に明らかにした。会談の内容については「一切、これ以上触れない」として明らかにしなかった。外務省幹部によると河野氏は拉致問題を取り上げたといい、李氏に日本の立場を伝えたもようだ。
両氏は18年8月にも短時間面会した。この時は両氏が出席した東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の夕食会の前に河野氏が李氏に声をかけた。今回は各国外相が自然に集まる場ではなく、個別に時間や場所を調整した形で実現した。北朝鮮側が日本との対話に応じる姿勢をはっきり見せたことは確かだ。
早期の首脳会談につながるかは不透明だ。首相は26日の記者会見で「(首脳会談を)する以上は拉致問題の解決に資する会談にしなければならない」と述べた。北朝鮮側が拉致問題に取り組む意思があるのか、まだ真意を見極めている段階だ。当面は金正恩氏の出席が取り沙汰される国際会議もなく、首脳会談をどのような場で開くかも手探りといえる。
現時点で北朝鮮側の意図は「圧力」を取り下げない日本を懐柔し、米朝協議を思惑通りに進めることにありそうだ。27日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は日本の北朝鮮脅威論を取り上げ「日本が対朝鮮敵視政策を放棄せず対決騒動に狂奔するのは、朝鮮人民の対日決算の意志をさらに強める」とけん制した。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。