新型ジムニーは低評価 欧州の衝突試験、4車種発表
欧州で安全性能を評価する自動車アセスメントを手掛けるEuroNCAPは、新たに4車種の衝突安全試験結果を2018年9月19日に発表した。対象は独アウディ「A6」、独フォルクスワーゲン(VW)「トゥアレグ」、米フォード・モーター「トルネオ・コネクト」、スズキ「ジムニー」の4車種。このうちA6とトゥアレグは最高評価の五つ星を獲得した。トルネオ・コネクトは四つ星、ジムニーは三つ星だった。
トルネオ・コネクトは、全幅の前面衝突試験でドライバーの腰がシートベルトの下で滑ったため、骨盤の評価は最低の「Poor」となった。歩行者や自転車の検知機能付き緊急自動ブレーキ(AEB)は、歩行者ダミーを使った試験で「Adequate(適切)」となったが、より速く動く自転車では許容範囲最低ラインの「Marginal(限界)」だった。全体として脆弱な道路利用者への保護が低く、四つ星となった。
ジムニーは、前面オフセット試験でドライバー側エアバッグの膨らみが不十分で、頭部がステアリングに接触した。エアバッグの挙動とステアリングの位置ずれによってペナルティーが課され、この部分の評価は「Marginal(限界)」となった。またドアフレーム周りが大きく変形したためペナルティーが課され、ダミーが受けた衝撃度合いと併せてドライバーの胸部保護性能は「Weak(弱い)」となった。インパネとダッシュボードの構造は異なる体格の乗員に怪我を負わせる危険があると見られた。
ジムニーの前席とヘッドレストの試験では、後方衝突時の頭頸部保護性能が「Marginal(限界)」となった。AEBを標準装備しており、低速での試験で良好な結果を得たが、ポイントを付与する前提条件として良い頭頸(とうけい)部保護性能が必要なため、ジムニーはポイントを得られなかった。AEBは昼間の歩行者回避機能で「Weak(弱い)」となり、低照度では動作しなかった。また自転車のように動きの速い対象には反応できなかった。そのほか、安全支援システムでは、車線逸脱警告システムを標準装備しているものの、車線維持機能がないため評価は低かった。
(ライター 櫛谷さえ子)
[日経 xTECH 2018年9月21日掲載]
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