ナジブ前首相を再起訴、妻も捜査 マレーシア検察
【シンガポール=中野貴司】マレーシア検察当局は20日、政府系ファンド「1MDB」資金の不正流用疑惑で19日に再逮捕したナジブ前首相を再び起訴した。捜査当局は妻のロスマ夫人や担当弁護士などナジブ氏周辺の捜査も加速しており、逮捕者や起訴件数はさらに増える見通しだ。
今回の起訴はナジブ氏の個人口座から見つかった20億リンギ(約540億円)超の資金が対象となる。検察はこの資金が1MDBから違法に流れたとみて、マネーロンダリング(資金洗浄)など合計25件の罪で起訴した。ナジブ氏は7~8月にも別の資金受領に関して背任など7つの罪で起訴されている。ナジブ氏は起訴内容を否定した。本格的な公判は2019年に始まるとみられる。
1MDBを巡る不正疑惑の捜査はナジブ氏周辺にも及んでいる。マレーシアの大手紙ニュー・ストレーツ・タイムズは20日までに、ロスマ夫人への捜査が最終段階にあると報じた。1MDBの関連資金を使って100万リンギ以上のアンチエイジング(抗加齢)商品などを買った疑いがあるという。汚職防止委員会は既にロスマ氏への事情聴取を実施している。
1MDBの件でナジブ氏の担当弁護士だったムハンマド・シャフィー氏も13日、ナジブ氏から計950万リンギを不正に受け取った容疑で汚職防止委員会に逮捕・起訴された。マハティール政権によるナジブ氏と周辺への責任追及は収まる気配がない。
捜査当局は国外逃亡を続ける華人系実業家、ジョー・ロー氏の逮捕も目指している。ロー氏は総額45億ドル(約5千億円)以上とされる1MDBの不正流用取引の多くに関わったとみられている。ロー氏への捜査が進めば、巨額な不正の詳細やナジブ氏の関与の実態が明らかになる可能性がある。