アルゼンチン前大統領、汚職で起訴
【サンパウロ=外山尚之】アルゼンチンの連邦裁判所は18日、フェルナンデス前大統領を収賄罪で起訴した。2015年までの任期中、公共工事の発注と引き換えに建設会社などから賄賂を受け取った疑いが持たれている。8月に政財界を巻き込んだ大規模な汚職が発覚して以来、フェルナンデス氏が起訴されるのははじめて。
8月に発覚した汚職疑惑では、左派政権時に経済界から政界へ巨額の賄賂が渡った疑いが持たれており、フェルナンデス政権時の高官や企業の元経営者らが相次ぎ逮捕・起訴されている。フェルナンデス氏は8月23日に家宅捜索を受けており、裁判所は「賄賂を集めるための犯罪組織の最高司令官」と指摘する。
フェルナンデス氏は18日、SNS(交流サイト)に「私の起訴に関わる事実も証拠もない」として、容疑を否認した。
裁判所はフェルナンデス氏の身柄拘束を求めているが、同氏は上院議員として不逮捕特権を保有しており、今後は議会で議論されることとなる。通貨安と高インフレでアルゼンチン経済が低迷する中、フェルナンデス氏はマクリ政権の批判票の受け皿として支持を高めていた。
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