2008年10月2日 欧米中銀、利下げ視野に
リーマン・ショックダイアリー(28) This Day In 2008
欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁(当時)は2008年10月2日、政策金利の据え置きを決めた理事会後の記者会見で「利下げの可能性も検討した」と明らかにした。
当時、欧米の中央銀行は根強いインフレと景気減速懸念の板挟みにあっていた。実際、ECBは7月の利上げ断行で政策金利を4.25%まで引きあげ、「物価と景気に中立」というスタンスを保っていた。米国も政策金利を2%に据え置き、利下げ余地を温存していた。
リーマン・ブラザーズ破綻を引き金とした金融危機は、景気後退のリスクを一気に高めると同時に、インフレを押し上げてきた原油など資源価格の急落を招いていた。銀行間取引市場の金利上昇を抑えるためにも、欧米中銀が利下げに追い込まれるのは時間の問題になりつつあった。
トリシェECB総裁=当時「こんな状況は今までなかった。銀行は我々を計算に入れて良い。市場には機敏に対応する」(2008年10月2日の会見で金融市場対策について)