イラン、核合意存続で協力要請 米を批判
【ジュネーブ=細川倫太郎】国際原子力機関(IAEA)がウィーンの本部で開催中の定例理事会で12日、イランのアバディIAEA担当大使が記者会見した。米国の核合意からの離脱表明を批判したうえで「経済的な利益を確保するためにもっと多くのことをすべきだ」と合意維持に向け欧州各国に協力を求めた。
アバディ氏は「多国間の外交の成果が、ただ一つの国の無責任な行動によって崩壊すればとても残念だ」と米国を非難した。
理事会でも各国から米国へ懸念の声が相次いだ。欧州連合(EU)は「核合意は世界の安全にとって不可欠で、米国の行動は遺憾。EUは合意の履行にフルに関与していく」と指摘。ロシアは「米国の一方的な離脱は明らかに国際法に反する」と述べた。
IAEAは「イランは現在も核合意を順守している」と報告している。世界で最も厳しい査察を受け入れているとし、今のところイランの核開発の拡大はみられない。ただ、イランは合意の破棄もちらつかせており、予断を許さない状況だ。
2015年に欧米など6カ国とイランが結んだ核合意は、イランの原子力活動を制限する代わりに、経済制裁を緩和する内容。トランプ米大統領は5月に合意からの離脱を表明し、8月に経済制裁を再開した。11月には第2弾の制裁を復活させるとしており、イラン経済への打撃が懸念されている。