長崎2行統合で地銀協会長 承認「特別な審査結果」
全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は12日の定例会見で、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行の経営統合が公正取引委員会から承認されたことを巡り「長崎ならではの特別な審査結果だ」と述べた。統合に必要な顧客債権の一部譲渡についても「是非は申し上げない。各行の経営判断だ」とし、地銀再編の先例として捉えるべきではないとの考えを示した。
公取委はふくおかFGと十八銀の統合を承認したが、総額1000億円弱の債権を他行に譲渡することを条件とした。統合で借入先の選択肢が十分ではなくなる場合には競争環境を保つ措置が必要で「1つの先例になる」との見解を示していた。
ただ、債権譲渡は顧客企業の負担になる恐れもあるため、ふくおかFGと十八銀、金融庁は消極的だった。こうした経緯を踏まえ、地銀協としても統合に必要な債権譲渡の是非について明言を避けた。他の地銀再編に与える影響も「各都道府県で人口動態や産業構造、金融機関の数、融資の内訳はさまざま。今回の結果が波及するとは思っていない」とした。
地銀再編に関連し、政府は未来投資会議で競争政策のあり方を議論する方針だ。これについて柴戸会長は「競争が不可欠というのは納得しているが、今後の人口動態などをみるとこのままでは経済を支える金融の健全性が阻害される。従来の物差しだけでなく、地域金融機関に見合った物差しができれば望ましい」と話した。