沖縄知事選13日告示 参院選へ野党共闘の試金石
30日投開票の沖縄県知事選は13日告示される。与党と野党がそれぞれ推薦や支援をする新人同士による事実上の一騎打ちだ。20日投開票の自民党総裁選後の政権運営を占う最初の選挙との位置づけで、2019年夏の参院選をにらんだ与野党の戦いになる。与党系が負ければ首相の求心力低下は必至で、野党は政権への打撃を狙う。
選挙戦は自民、公明両党と日本維新の会、希望の党が推薦する前宜野湾市長の佐喜真淳氏と、立憲民主党など野党5党が支援する自由党幹事長の玉城デニー氏が軸となる。佐喜真氏は12日夜、与那原町の事務所開きで「まずは県民の暮らしを良くする」と主張した。玉城氏は那覇市の集会で、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し「断念は当然だ」と語った。
自由党の小沢一郎共同代表は10日、那覇市の集会で「デニー君を国政の場から失うのは本当にさみしいが」と切り出し、こう続けた。「戦う以上は勝たなきゃいかん。県民の立場にたった知事を選ぶのか、安倍内閣の言うがままの知事を選ぶのかだ」。8月下旬には玉城氏支援の企業を回り資金面での協力を求めた。
小沢氏が側近の出馬を認めたのは、与野党対決の知事選が国政に絡むためだ。自民党総裁選は首相が優位な戦いだが、その10日後の知事選で与党推薦の候補が敗れれば、3期目の出ばなをくじかれる。6月の新潟県知事選では、首相が森友・加計問題を追及されるなか、与党系候補が勝った。首相の「党の顔」としての実績になり、状況を見極めていた議員が安倍支持に傾く材料となった。
玉城氏は県政与党の共産、社民両党や労働組合、一部の地元企業など辺野古反対を主張する地元の団体が支える。基地問題以外では主張が異なるが、故翁長雄志知事の遺志を継ぐという旗印の下に共闘する。パンフレットには翁長氏のイラストを用いて「あなたの勇姿を忘れない」との文言を記し、故人をしのぶ黙とうで始める集会もある。
野党5党は推薦や支持を見送り、地元の保革共闘を裏方で支える。立民は党所属議員に県内在住者の名簿と秘書派遣を要請している。国民民主党も各議員が個人で応援に入る。立民や国民などの地方議員約480人が沖縄への基地集中を見直すよう求める意見広告を12日付の地元紙に出した。
新潟県知事選では野党5党が推薦を決め、党首が街頭演説でそろい踏みするなど、共闘を強調したが敗れた。国民の玉木雄一郎代表は「新潟県知事選の反省は、国政政党が音頭をとっても地元では響かないということだ」と指摘する。参院選は改選定数1の選挙区で野党が統一候補をどう擁立し、戦うかが焦点となる。知事選は野党共闘にとっても試金石になる。
8月25日告示、9月11日投開票の日程で実施される沖縄県知事選挙に関する最新ニュースと解説をまとめました。現職と新人2人の計3人が立候補を届け出ており、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非や、新型コロナウイルス感染拡大で傷ついた県経済の回復が主要争点となりそうです。