ロシア大統領、年内の平和条約締結求める
【ウラジオストク=小川知世】ロシアのプーチン大統領は12日、極東ウラジオストクで開催中の東方経済フォーラムの全体会合で、一切の前提条件を設けずに2018年末までに日ロ平和条約を締結するよう提案した。そのうえで「平和条約に基づいてすべての意見の隔たりのある問題の解決を続けよう。それで問題の解決が容易になる」と述べ、条約締結後に領土交渉に取り組むべきだとの考えを示唆した。
プーチン氏発言の真意は 領土棚上げか、2島先行か
菅義偉官房長官は12日の記者会見で、10日の日ロ首脳会談では提案はなかったとした上で「北方四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する日本の方針に変わりはない」と述べた。
全体会合には安倍晋三首相や中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席らも出席していた。
プーチン氏は平和条約締結後に色丹島、歯舞群島を引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言にも言及し、日本と旧ソ連の両国が批准したが「この宣言の実施を日本側が拒否した」と指摘。新しいアプローチの必要性を強調し「年末までに平和条約を締結しよう。何の事前条件も付けずに」と呼びかけた。首相はこの後に発言したが、プーチン氏の提案には反応しなかった。
プーチン氏は、提案について「冗談ではない」と強調しつつも「今思いついた」と説明した。