クボタ、検査報告書を書き換え 鋼板生産設備の部品で
クボタは12日、製鉄所で鋼板の生産設備に使う金属部品の一部について、顧客への検査報告書に不適切な記載があったと発表した。硬さや合金の配合比率など本来とは異なる製品を納入しながら、報告書では仕様通りの数値に書き換えていた。国内外の納入先99社のうち85社で不適切な記載があった。現時点では最終製品である鋼板の品質への影響は出ていないという。
不適切な行為があったのは、鋼板を薄く延ばす工程で使う圧延ロールという消耗部品。公的な規格はなく顧客とクボタとの間で硬さや素材などの仕様を決定する。2013年10月~18年7月に約2万1千本を出荷し、硬さの書き換えが3512本、配合比率が121本あった。実際に出荷した製品と別の製品の顕微鏡写真を添付している例も765本あった。圧延ロールの硬度が本来より低いと、摩耗が早くなり、交換頻度が高くなる可能性がある。
7月25日に内部通報で発覚した。社内調査や外部の法律事務所による調査を始めた。8月下旬以降、顧客への説明を始めている。原因については調査中であり、現時点では回答を差し控えるとした。13年9月以前の製品についても今後2カ月かけて調査する。
クボタは神戸製鋼所の品質不正を受けて、農機や建機など5拠点で社長直轄の品質保証本部が監査を進めてきた。今回の部品は、今後チェックが入る予定だったという。
木股昌俊社長は「取引先をはじめ関係者に多大なるご迷惑をお掛けし、心からおわびする」と陳謝した。業績の影響については「不確定な要素が多く現時点では不明だ」とした。
圧延ロールは兵庫県尼崎市の工場で生産し、17年度の売上高は約44億円。クボタの推計によると国内シェアは35%、世界シェアは2~3%という。