危機の足音 色あせる教訓
本社コメンテーター 梶原誠
投資マネーが新興国を翻弄している。各国は、グローバル市場を舞台に生き残り競争にさらされているかのようだ。
新興国を巡るマネーの流れには2種類がある。まず新興国からの逃避だ。米リッパーによると、新興国の株式や債券に投資する投資信託からは5月以降、200億ドル(約2兆2000億円)超の資金が流出した。
もう一つは、苦境に乗じて荒稼ぎを狙う投機家の「新興国売り」だ。「EMLC」は、ブラジルやメキシコな...
東京、ニューヨーク、ソウル、香港を拠点に市場を通して世界を見てきた。アジア通貨危機、日本の金融危機、リーマン危機も取材。編集委員、論説委員、英文コラムニストを経て2017年2月より現職。市場に映る全てを追う。