ファナックのロボもOK ロボ制御のムジンが実演
ロボット制御装置を開発するMUJIN(ムジン、東京・墨田)の制御装置が、ファナックの産業用ロボットでも使えるようになった。既に対応済みの安川電機や川崎重工業を含めると、国内主要メーカーのロボットを制御できる。ムジンの制御装置を使うと多品目を扱う物流拠点でもロボットを導入でき、人手不足の解決策として採用を提案する。
11日から東京都内で開催中の国際物流総合展で、ムジンの制御装置がファナックのロボットを制御して様々な形の日用品を1つずつつかみ、搬送システムに載せる作業を実演している。ファナックは産業用ロボットの世界大手で、多くの製造業の工場で導入されている。
ムジンの制御装置は、事前にロボットに作業を教えこむ「ティーチング」と呼ぶ作業が必要ないのが特徴だ。ロボットがカメラで認識した物をどうやってつかむか計算して自ら動く。
他社のシステムでは、1つ1つの物に対してアームをどのように動かすか、動作をティーチングする必要があり、時間と手間がかかっていた。数万単位の種類の商品を扱う物流拠点では動作を教える作業が煩雑で、ロボットの導入が進まない一因となっていた。
これを解決し、生産現場で働く産業用ロボットの活躍の場を物流業などに広げている。既に日用品卸最大手のPALTACが新潟に構える拠点で、ファナックのロボットをムジンのコントローラーで制御して活用している。
ムジンは2011年設立のスタートアップ企業。同社のロボット制御システムは三菱電機やデンソーなどのロボットにも対応している。中国ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)が今春中国で稼働した無人物流拠点でも採用されている。
商品が入った段ボールをロボットでパレットに効率よく積み重ねるシステムや、商品情報がない状態でもパレットに積まれた段ボールをコンベヤーに積み替えるシステムを実用化済み。労働負荷が高いトラックから荷物を下ろす作業をロボットでするシステムの開発にも取り組んでいる。
(若杉朋子)