ウミトロン、魚の養殖保険開発へ3億円追加調達
水産関連スタートアップ企業のウミトロン(東京・港)は11日、未来創生ファンドから3億円を調達したと発表した。調達した資金は、養殖業に特化した保険を開発するためのデータ収集の実証実験に充てる。併せて実験に参加する保険会社や養殖業者を国内外で募集する。
シンガポールにある親会社のウミトロンが、第三者割当増資を通じてスパークス・グループが運用する未来創生ファンドから資金を調達した。6月に産業革新機構などを引受先として9億2000万円を調達したのと同じ「シリーズA」と呼ぶ段階で、シリーズAでの調達額は合計12億2000万円となる。
新たに、養殖業向けの保険サービスの実現に向けたデータ収集の実験を始めた。従来は魚の資産価値を算出したり海中の環境を定量化したりするのが難しく、台風や赤潮などの被害を受けても損害額を評価しにくかった。
センサーなどで集めた海の環境データを、保険サービスに活用できるか実験する。ウミトロンは収集したデータを保険会社に提供する計画で、保険商品を開発する保険会社も募集する。
ウミトロンは2016年設立。人工衛星や海中から得られるデータと、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の技術を組み合わせて、養殖魚のエサやりを効率化するシステムの開発に取り組んでいる。
水中のカメラなどで魚群を捉え、魚が食べているかを確認して無駄なエサやりを抑制。養殖魚の餌代の価格が上昇して養殖業者の経営を圧迫している課題を解決しようとしている。データや技術を活用して、養殖業を持続可能にするのが目標という。
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