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「おもちゃの域脱した」スマホ顕微鏡、プロも評価

科学記者の目 編集委員 滝順一

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「スマホ(モバイル)顕微鏡」をご存じだろうか。スマートフォンのカメラの上にレンズ付きの小さな器具をおくだけで、スマホが顕微鏡に早変わり。器具の改良とスマホの性能向上で、おもちゃの域を脱し、今や科学研究にも使われる。開発に携わってきた合同会社、Life is small.(LISCO=リスコ、横浜市)の白根純人さん、永山国昭さんにモバイル顕微鏡の進化を聞いた。

「偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡など普通の光学顕微鏡でできることは何でもできる」と永山さんは話す。永山さんは電子顕微鏡メーカーの日本電子を経て自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)で、電子顕微鏡や核磁気共鳴装置(NMR)を使って細胞やたんぱく質の研究に取り組んできた科学者だ。退官後の今はリスコで永山顕微鏡研究所長として製品開発に取り組む。

リスコでは、倍率15倍から180倍までの8種類の製品を1500円から3500円の価格帯で販売している。最も扱いが簡単なものは、レンズ付きの透明な器具をスマホのカメラレンズの上におくだけでいい。試料を載せればピッタリ焦点が合うようにあらかじめ設計してある。一般向け製品のほかに、科学研究向けに結晶構造などの観察に適した偏光顕微鏡や生物試料が発する蛍光を捉える蛍光顕微鏡など特殊な顕微鏡もオーダーメードで製造している。

最初にモバイル顕微鏡を作ったのは2013年。その後、顕微鏡のレンズの設計の工夫などで「科学研究で広く使われているシャーレやプレパラートをそのまま使えるようにしたことと、スマホのカメラがどんどん高解像度になってきたことでおもちゃの域を脱した」と永山さん。

モバイル顕微鏡の愛好家たちが集まるグループ「Life is small」が14年ころに生まれ、それぞれが工夫を凝らして撮った動植物の細胞やミジンコなど微生物の映像をフェイスブック上に活発に上げ続けている。「モバイル顕微鏡を活用した出前授業も月に1、2度行い、科学の面白さを広く知ってもらうよう努めている」とリスコ代表の白根さんは言う。

白根さんはかつて国の科学技術振興機構(JST)で科学コミュニケーションを担当する部署にいて、永山さんが作ったモバイル顕微鏡を使い科学の普及活動に携わった経歴の持ち主だ。

リスコでは日本気象協会からの委託事業にも取り組む。スギやヒノキの花粉を全国各地のモバイル顕微鏡ユーザーが撮影、画像を送信してもらい、花粉の飛散状況をリアルタイムに近い状態で把握するというもので、一般の人が観測に参加する「市民科学プロジェクト」だ。さらに宇宙ステーションの中のような微小重力環境が生命に及ぼす影響を地上の疑似無重力環境で調べる研究にも使われている。小型、軽量で扱いやすいモバイル顕微鏡の利点を生かす試みだ。

リスコは横浜市のマンションの一部屋に拠点を構える小さな会社だ。室内にはレンズの設計に用いるパソコンのほか3次元プリンターがある。設計したレンズや器具を3次元プリンターで試作し性能を確かめる。問題がなければ、設計データを岡崎市に送る。岡崎では生理学研究所で長年、永山さんとコンビを組んできた技術者の伊藤俊幸さんが待ち構えていて、製造用の3次元プリンターで製品化していく。

「かつて出版社と組んでモバイル顕微鏡キット付きの書籍を発売したことがあるが、(プラスチック製品製造用の)金型を起こして作ると1万個は売らなくてはならない。3次元プリンターなら20~30個の多品種少量生産でいい」と永山さん。

気象協会委託の花粉マップづくりでも、送られてきた画像を人工知能を用いて判別する計画だ。小さな会社のささやかな事業だが、「時代のエッジ(最先端)が見えてくるような仕事だ」と永山さんは話す。

 ■取材を終えて
 1990年代から若者の理科離れが問題視され、政府は最先端の科学を子どもを含む多くの人たちに理解してもらおうと、研究者による科学コミュニケーションを推進する政策を打ち出した。永山さんは17世紀のオランダの科学者、レーウェンフックが発明した世界初の顕微鏡を復元し、出前授業などで活用していた。「ミクロの世界を見せたい」との活動がモバイル顕微鏡の前駆となったという。
 初期のモバイル顕微鏡はJSTの科学コミュニケーション事業で取り上げられ、白根さんと協力して、活動を広げるが、JSTでの活動は長続きしなかった。
 政府のプロジェクトをいったん離れた2人が再び出会って、民間ベースで立ち上げたのがリスコだ。ブランクはあったが、その間のスマホの著しい性能向上や3次元プリンターの登場などで、新たなビジネスモデルが生まれつつある。

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