遺伝子解析のジーンクエスト、製薬3社と創薬研究
ユーグレナ傘下で遺伝子解析サービスのジーンクエスト(東京・港)は10日、武田薬品工業など大手製薬3社と共同研究を始めると発表した。ジーンクエストが持つ数万人規模のヒトの遺伝子データを活用し、たんぱく質の生理機能と遺伝子の関係性を調べる実証研究を実施する。将来はいまだ治療法がない疾患の新薬候補の探索に生かすことも視野に入れる。
武田のほか、アステラス製薬、第一三共と共同研究の契約を結んだ。まずジーンクエストがこれまで遺伝子データを取得した個人を対象に製薬会社が実施する臨床研究への協力者を募る。
例えば痛みや熱、アルコールへの耐性が遺伝子配列によってどう変わるかを調べ、既存の知見と比較する。
「創薬に遺伝子データを活用できれば臨床試験(治験)の期間短縮や対象疾患の探索に役立つ可能性がある」(ジーンクエスト)という。同社は生データではなく、解析結果を製薬会社に提供し、個人情報を保護する。
米国では数百万人規模の遺伝子データを持つスタートアップ企業が存在し、ファイザーなど製薬大手の創薬に協力している。今後、日本でも遺伝子データを持つスタートアップと大手製薬の連携が活発になりそうだ。
ジーンクエストは東京大学で生命科学を研究していた高橋祥子社長が2013年に設立したスタートアップ。個人の遺伝子データを解析して生活習慣の改善を助言するサービスを手掛け、17年にユーグレナの傘下に入った。製薬企業と本格的に提携するのは今回が初めて。