中国の対米黒字最大 8月310億ドル、関税で輸入鈍る
貿易戦争、輸出は駆け込みで好調
【北京=原田逸策、ワシントン=鳳山太成】米中貿易戦争の影響が統計に鮮明に表れ始めた。中国税関総署が8日発表した8月の米国からの輸入は、前年同月比2%増どまりの133億ドル(約1.5兆円)だった。伸び率は7月の11%から大幅に鈍った。対米輸出は同13%増の443億ドルと好調。今後の追加関税をにらみ、駆け込み輸出が広がったとみられる。
対米貿易収支は310億ドルの黒字。同19%拡大し、単月として過去最大となった。トランプ大統領が狙う貿易赤字圧縮は実現していない。
米国からの輸入の伸びは春節(旧正月)休暇で統計がふれる1~3月を除くと17年4月以来の低水準。輸入全体は20%増えており、米国からの鈍化が目立つ。8日発表の統計は速報値で国ごとの品目の動向は明らかになっていないが、7月以降の追加関税で車などの輸入が減ったもようだ。
米中は互いに7月6日から340億ドル分、8月23日から160億ドル分の製品に25%の関税を上乗せした。中国は米国からの輸入の3分の1に追加関税をかけ、車と大豆で課税対象計500億ドルの6割を占める。天津市の車の輸入会社の経営者は「関税上昇後は米国からの輸入を控えて様子をみている」と話す。
中国の8月の輸出は全体では10%増で、対米の伸びが上回った。トランプ政権は7月に追加関税第3弾となる2千億ドル分の品目候補リストを公表。対象になった家具などの駆け込み輸出が起きた可能性が高い。
トランプ氏は7日、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す可能性に再び言及した。2千億ドル分への第3弾の関税発動を近く判断するが、早くも「第4弾」をちらつかせて強硬姿勢を崩していない。