ウクライナ東部、爆発で親ロ派指導者が死亡
【モスクワ=小川知世】ウクライナ東部で親ロシア派武装勢力が実効支配するドネツク中心部で8月31日爆発があり、親ロ派指導者のザハルチェンコ氏が死亡した。ロシアは国際的なテロ事件として捜査を始めた。ウクライナ東部ではロシアが支援する親ロ派武装勢力とウクライナ政府軍の戦闘が続いている。親ロ派トップの死亡でさらに対立が激化する恐れがある。
ザハルチェンコ氏はウクライナからの独立を狙って一方的に設立を宣言した「ドネツク人民共和国」の首長を名乗り、親ロ派武装勢力を率いた。
インタファクス通信によると、爆発はカフェで発生し、同氏を含む親ロ派幹部ら11人が死傷した。親ロ派は「ウクライナの破壊工作員」として事件に関わった疑いがある数人を拘束し、ウクライナ側の関与を示す証言を得たと説明している。
ロシアは反発を強めている。プーチン大統領はザハルチェンコ氏を追悼する声明を出し「テロを選んだ人々は平和的な政治解決を望んでいない」と非難した。外務省も声明で、ウクライナ政府にテロ行為を容認しないように要請。連邦捜査委員会は国際テロ事件として捜査すると発表した。
ロイター通信によると、ウクライナ安全保障庁の報道官は関与を否定し「テロリストと(それを支援する)ロシアのスポンサーの内部争い」との見方を示した。事件を巡ってロシア側と非難の応酬が続くことが予想される。ウクライナでは来年3月に大統領選を控え、ロシアとの緊張の高まりが懸念されている。