シリア、国連総長に抗議 人道危機懸念の声明「不公平」
【ニューヨーク=高橋里奈】シリア政府は30日、北西部イドリブ県の人道状況の悪化を懸念するグテレス国連事務総長の声明に抗議する公式文書を国連に提出した。シリアのジャファリ国連大使は、国連本部でグテレス氏の報道官が29日に発表した声明は「(米英仏など)シリアを標的とする国々にくみする内容だ」と批判、不公平だと訴えた。
シリアのアサド政権は反体制派をイドリブ県に追い詰め、内戦は最終局面に入っている。ジャファリ氏は「シリアとその同盟国はテロリストとの戦いを規定した国連安全保障理事会の決議を守る唯一の当事者だ」と攻撃を正当化した。
アサド政権によるイドリブ県への総攻撃があるとの観測もあり、国連などは市民の犠牲者が増えることを懸念。グテレス氏は声明で「人道被害のリスクが高まることに深い懸念を覚える」とし、「化学兵器の使用は断じて許されない」とシリアをけん制していた。