日本の最低生活保障を考える(8) 住宅費が家計を圧迫
山田篤裕 慶応義塾大学教授
被服費や光熱費と違い、収入が減少しても切り詰めることが困難な住宅費は、最低生活費を構成する重要な要素です。第2次大戦後の英国の社会保障を構想したベヴァリッジ報告でも、世帯や地域により大きく異なる住宅費をナショナル・ミニマムとしてどのように保障するかは困難な課題の一つとされました。その一応の解決は30年後のことで公営住宅と住宅手当を組み合わせることでした。日本ではいまだに後者の制度は存在せず、生活...
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