貿易促進で一致 9月に次回会合 日米貿易協議が終了
【ワシントン=飛田臨太郎】日米両政府は10日(日本時間11日)、9日から開いていた閣僚級の貿易協議(FFR)の初会合を終えた。茂木敏充経済財政・再生相は協議後の記者会見で「日米貿易を促進させるための方策を探求し、共通認識に基づき協力分野を拡大することで一致した」と述べた。9月に次回会合を開き、具体的な合意を目指す。
茂木氏とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が2日間にわたり会談した。米は日米自由貿易協定(FTA)を念頭に2国間交渉を求めた一方、日本は米の環太平洋経済連携協定(TPP)復帰を求め、折り合わなかった。ただ、茂木氏は「立場の相違を埋め、日米貿易を促進させる方策を見いだしてく基本的な方向で一致した」と強調した。
2回目の会合は9月下旬に見込まれる日米首脳会談の前に開催する見通し。茂木氏は「うまくいけば9月には同じボールでキャッチボールができることになると思う」と述べた。「米側も決して今回の協議に不満を持っているとは思っていない」とも述べ、次回会合で成果を出すことに自信をみせた。
トランプ米大統領が検討する自動車関税の引き上げについては、茂木氏から「信頼の醸成が必要不可欠だ」と述べ米に対し回避を求めた。米側からは是非についての明確な回答はなかったもようだ。
米は牛肉などの農産物の市場開放を求めている。2日間の会合で農産物や自動車などの各分野について日米で突っ込んだ議論をした。茂木氏によると「お互い様々な考えや球を出した」という。ただ、詳細については「今の段階では控えたい」と述べた。
トランプ氏が求める対日貿易赤字の削減に協力するため、日本が液化天然ガス(LNG)や防衛装備品などのモノの購入を拡大する案もある。茂木氏は「今後の協議の中で貿易ルール以外の話しも含めて議論することはあり得る」と述べた。今回の協議では提案しなかったことを示唆した。
中国を念頭に知的財産の侵害や外国企業に先端技術を強制的に開示させるといった問題に対しても連携していくことを確認した。世界貿易機関(WTO)の改革でも協力していく。