外国人騎手の最多勝争い 好対照の個性 見応え十分
2015年にミルコ・デムーロ(39、栗東・フリー)とクリストフ・ルメール(同)の両外国人が、日本中央競馬会(JRA)の通年免許を取得したとき「これからはこの2人が最多勝争いをするのだろう」と思ったファンは多かったはず。実際、17年にルメールが最多勝を獲得したものの、過去3年はこの2人の一騎打ちとはならなかった。ただ、今年は様相が違う。すでに最多勝争いの1、2位に名前を並べ、3位以下を大きく引き離している。
最多勝争いの首位を走るルメールは5日現在で108勝。直近も好調で、4、5日の2日間で6勝を挙げた。外国人騎手として初めて最多勝に輝いた昨年は199勝を挙げ、2位の戸崎圭太(38、美浦・田島俊明厩舎)に28勝の大差をつけた。心残りは、03~05年の武豊(49、栗東・フリー)以来、史上2人目となる年間200勝にわずかに届かなかったことか。今年は「200勝を達成できるよう頑張りたい」とルメールは語る。
2位は101勝のデムーロ。4、5日は3勝でルメールとの差は開いたが、今年は例年以上に好調だ。例えば、連対率(騎乗したうち2着以内に入った割合)では、ルメール(41.3%)を上回る42.9%を記録する。最多勝ランキングでは15、17年の3位が最高。初の最多勝獲得へ期待も高まる。
例年、この2人の壁となっていたのが戸崎だった。だが、今年は現時点で71勝。最多勝ランキング3位につけているとはいえ、ルメールとデムーロとの差も開いている。今年に関しては、最多勝争いは外国人同士の一騎打ちと言って良さそうだ。
すぐに好位置を取れ、温存したエネルギーを最後に馬に発揮させるルメールと、展開次第では早いタイミングでも動く、積極性が持ち味のデムーロは対照的な個性を持つ。デムーロの特長が今年、最もよく表れたのが、スワーヴリチャード(牡4)で勝った大阪杯(G1)だろう。レース前半は後方にいたが、スローペースとみるやバックストレッチで一気に先頭にまで進出し、そのまま押し切った。
ルメールはアーモンドアイ(牝3)とのコンビで達成した牝馬2冠が印象的。特にオークス(G1)は馬が前に行きたがり、それまでのレースよりも前の位置取りとなりながらも、うまく折り合いを付け、最後の直線で抜け出した。モズアスコット(牡4)で安田記念にも勝ち、ここまでG13勝。大レースでも活躍が目立つ。好対照な騎乗スタイルの2人だけに、最多勝争いは見応え十分である。
(関根慶太郎)