インドネシア大統領、再選出馬を正式表明
【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアのジョコ大統領は9日、首都ジャカルタで記者団に対し、2019年4月に行われる大統領選挙で再選を目指し出馬すると正式表明した。副大統領候補にはイスラム教の指導者を束ねるインドネシア・ウラマー評議会のマアルフ・アミン氏を指名した。最大野党党首のプラボウォ氏も出馬の最終調整を進めており、事実上の選挙戦が始まる。
ジョコ氏は「全国の国民の声を聞き、再び選挙に出馬することにした」と述べた。大規模インフラ開発による経済成長や規制緩和による投資拡大など1期目の政策の成果を訴える。登録期限の10日午前に選挙管理委員会に正式に届け出る予定だ。ジョコ氏は17年末、日本経済新聞に対し「国民が望むなら」と話し、再選出馬を強く示唆していた。
大統領選挙を共に戦う副大統領の候補者には与党幹部や元国軍幹部などの名前も挙がっていたが、インドネシア国民の8割強が信仰するイスラム教の長老を副大統領候補に据えた。イスラム色を前面に出して政権奪取を目指すとみられる野党の選挙戦略に対抗する狙いがある。
現職副大統領のユスフ・カラ氏はユドヨノ前政権時代にも副大統領を1期務めていたため、規定により副大統領候補として再選出馬できない。
野党ではスハルト元大統領の元娘婿で、グリンドラ党党首のプラボウォ氏が出馬に向けた最終調整を急いでいる。副大統領候補には、ジャカルタ特別州副知事のサンディアガ・ウノ氏などの名前が挙がる。ユドヨノ前大統領の陣営はプラボウォ氏を支持するとの見方が強まっているが、最終盤で独自候補擁立を目指す動きも出ている。
大統領選挙の候補者登録の期限は10日夜で、正副大統領候補の名前をペアで登録する。出馬には国会議席の20%以上を持つ政党または政党連合の推薦が必要で、与野党はギリギリまで連立交渉を行っている。
インドネシアで大統領を直接選ぶのは次の選挙で4回目。30年間続いたスハルト元政権が独裁色を強め、汚職もまん延した反省から、大統領の任期は1期5年、最長2期までに制限されている。