公務員の定年延長 給与7割水準
人事院、国会と内閣に申し入れへ
人事院は現在60歳の国家公務員の定年延長に向け、60歳以上の給与を50歳代後半の水準から3割程度減らす方針だ。8日に国会と内閣に申し入れる。政府は定年を2021年度から3年ごとに1歳ずつ上げ、33年度に65歳とする方向で検討する。段階的な引き上げに備え、人件費を抑える。60歳の定年が多い民間企業でも公務員の基準を参考に見直しが広がる可能性がある。
人事院が厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に60歳以上を正社員として雇用する民間企業で働く正社員の年間給与水準を比較したところ、60歳代前半の社員は50歳代後半と比べて平均で3割程度低いことがわかった。民間の水準と合わせ、60歳以上の国家公務員の給与も3割減に設定する。政府は19年の通常国会にも関連法の改正案を提出する。
現在は次官など一部の役職を除いて、国家公務員は60歳で定年を迎える。希望すれば退職後、1年ごとの更新で65歳まで働ける再任用制度があるが、給与は現役時代から半減することもある。
定年延長後もそれ以前と同程度のポストで働く場合、定年退職後に低いポストで再任用されるより厚待遇が望める。定年延長で一定の給与水準を確保しながら長く働く受け皿が整えば、国家公務員の天下りの抑止力にもなり得る。
人事が滞らないよう、一定の年齢に達すると管理職から外す「役職定年制」も導入する。例外として、専門性が高く後任を見つけにくい職種などに限り、1年ごとに最大3年まで留任を認める「特例任用」の制度もつくる。その間は3割の減給の対象から外す。
個人の事情や体力などに合わせた多様な働き方を可能にするため、60歳以上の職員が短時間勤務を選択できる仕組みも盛り込む。短時間勤務の場合の給与は勤務日数に応じて変動する。
定年の延長は、公務員の年金の支給開始年齢が25年度にかけて段階的に65歳に引き上がることに合わせた措置だ。人件費の膨張を抑えながら、高齢化や年金制度の見直しに対応する。