米産大豆の輸入3.8倍に、欧州委
貿易戦争回避カード、早くも「実現」アピール
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は1日、7月のEU圏への米国産大豆の輸入量が前年同月の3.8倍に拡大したと発表した。米国産大豆の輸入拡大はEUが7月25日、米国との首脳会談で、貿易戦争を回避するために切った交渉カードのひとつ。トランプ米大統領に早くも「実現」をアピールした格好だ。今後2カ月に1度のペースで輸入状況を報告する。
欧州委によると、7月の米国産大豆の輸入量は35万9305トンと前年同月の約3.8倍に急増した。全輸入量に占める米国産の比率も9%から37%へ大きく拡大。25日にトランプ米大統領とホワイトハウスで会談し、米国産大豆の輸入拡大の意向を示したユンケル欧州委員長は1日「すでに(輸入拡大は)起きている」と自賛した。
ただ米国産大豆の輸入拡大はEUの政策ではなく、米中の貿易戦争の影響という面が強い。有力輸出先だった中国が報復措置として米国産大豆に高関税を適用。EUにとって主力輸入先のブラジル産の大豆を中国と奪い合う形となり、ブラジル産の価格高騰を招いた。その結果、行き場を失って割安になった米国産大豆の輸入を増やす欧州の輸入業者が増えている。
7月25日の米EU首脳会談では、自動車を除く工業製品の関税撤廃を目指す交渉入りで合意。交渉中は欧州産自動車への追加関税は棚上げすることで一致し、土壇場で貿易戦争の"開戦"を避けた。会談後にトランプ氏はツイッターに「EUは大豆をすぐに買うと言ってきた」と投稿。EUから勝ち取った譲歩として、大豆の輸入拡大をアピールしていた。
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