絶版作品を受け付け Jコミック、海賊版サイトに対抗
絶版した漫画をインターネットで配信するサービスを展開するJコミックテラス(東京・千代田)は1日、海賊版サイトに対抗するため、一般人から作品データの投稿を受け付ける実証実験を始めた。集めた作品データは広告付きでサイト上で配信。広告収入を著作者や投稿者と分配する。海賊版サイトに対抗できる多数の作品をそろえ、著作者が適正な報酬を得られる仕組みを整備する。
実証実験は実業之日本社と連携して進める。実業之日本社が発行した作品の中から、現在は発売されていない作品データを募集する。作家本人または第三者がスキャンした作品データなどを受け付ける。従来はJコミックテラスが作者の許諾を受けた上で紙の本からデータを作成していた。
投稿された作品データは、実業之日本社が作者から許諾を取り、Jコミックテラスのサイト「マンガ図書館Z」上で広告付きで配信する。広告収益から8割が著作者、1割が出版社、1割は投稿者に分配する。漫画のほか、文芸作品も含み、4358人の作家、全8871冊を募集する。実証実験の期間は8月1日から1年間。
絶版漫画の配信サービスを2011年から運営してきた漫画家で、Jコミックテラス会長の赤松健氏は今回の実験の目的として「第三者による投稿を正しい形で収益化する」と説明。今回はあくまでも実証実験であるとしながら「投稿者数、作品数、読者数などの実績を見て、他の出版社に広げたい」(赤松氏)と話述べた。
Jコミックテラスは電子書籍の取次事業を手掛けるメディアドゥホールディングスの子会社。メディアドゥは7月にGYAOより70.5%の株式を取得して子会社化することを発表していた。メディアドゥは同じく7月に中期経営計画を発表し、電子取り次ぎだけでなく、紙の書籍の販促や著作者支援など事業拡大を強化する方針を示している。