大日本住友製薬、貼るタイプの統合失調症薬
大日本住友製薬は31日、貼り薬(テープ剤)タイプの統合失調症薬について承認申請をしたと発表した。世界でもまだ例はなく、テープから成分が安定的に放出されるため、錠剤や注射剤に比べて安定した効果を得られるという。患者が服用したことも目で見て確認できる。2019年度にも発売し、韓国や中国での販売も検討する。
貼り薬を発売するのは「ロナセン」。錠剤や注射剤を嫌がる患者に対しても使いやすい。薬剤の皮膚への透過が難しく、これまで貼り薬はなかったが、日東電工との共同開発で実用化にメドを付けた。
ロナセンは既に錠剤タイプを国内や韓国、中国で販売しているが、後発薬が19年6月以降に登場する見込み。貼り薬で錠剤と同程度の年間120億円超の売り上げを目指す。抗精神病薬全体の国内売上高を数年後に500億円と17年度比で約3倍に増やす。
統合失調症の患者は国内に80万人弱、統合失調症薬の国内市場規模は薬の国内1800億円程度とみられる。同社の収益の大半を稼ぐ抗精神病薬「ラツーダ」は後発薬各社と特許を巡って係争中。事業の安定に向け品ぞろえ強化が急務となっている。