iPS細胞って何? 3つのポイント
京都大学は30日、iPS細胞から神経細胞をつくって神経の難病「パーキンソン病」の患者に移植する医師主導の臨床試験(治験)を8月1日から始めると発表しました。iPS細胞からつくった細胞を人に移植する研究が認められるのは目の難病と心臓病に続いて3例目です。
(1)iPS細胞、遺伝子導入して作製
iPS細胞は体のあらゆる臓器や組織に変化できる細胞のことです。「万能細胞」と呼ばれます。皮膚など体の細胞に遺伝子を導入して作ります。京都大学の山中伸弥教授が作製法を開発し、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
(2)移植、失った機能取り戻す
iPS細胞は病気や事故で失った体の機能を取り戻す再生医療の切り札といわれます。iPS細胞から目の網膜や心筋など様々な細胞の組織に変化させ、患部に移植します。組織が定着して機能すれば、難病を克服できると期待を集めます。今回の治験では、iPS細胞から神経細胞をつくって、パーキンソン病患者の脳に移植して、体の震えなどを治すことを目指します。
(3)脊髄損傷や心不全などでも計画
iPS細胞を利用した再生医療の臨床第1号は、理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが2014年に実施しました。重症の心不全の臨床研究のほか、交通事故などで運動神経がまひする脊髄損傷、糖尿病患者向けの膵(すい)島移植など様々な計画があります。