カンボジア総選挙、人民党120議席 ほぼ一党独裁に
党集計 抗議の意思か、無効票急増
【プノンペン=富山篤】カンボジア人民党(CPP)は30日、前日に投開票された国民議会(下院、定数125議席)の総選挙で、95%超の120議席以上を獲得したとする党の独自集計を明らかにした。国連主導で現在の民主的選挙が始まった1993年以降、歴史的な大勝利となる。上院も人民党が全議席を独占しており、ほぼ一党独裁状態になる。
与党寄りといわれるフンシンペック党と、選挙戦で若者らに支持された民主主義同盟党(LDP)が残りの5議席以下を分け合うことになりそうだ。
2013年の前回選挙では野党のカンボジア救国党(CNRP)が45%に当たる55議席を獲得し、同55%に当たる68議席の人民党に肉薄した。1985年から首相を務めるフン・セン政権への不満が噴出した形だった。17年の地方選挙でも救国党が躍進し、焦ったフン・セン政権は救国党のケム・ソカ党首が国家転覆を企てたとして逮捕。事前に改正した政党法の規定に基づき、17年11月に救国党を解散した。
今回の総選挙には人民党を含む20政党が参加したが、弱小政党ばかりで、強大な人民党に太刀打ちできるはずもなかった。
国民の不満が投票ボイコットの形で表れるともみられていたが、投票率は82.17%と前回の70%を大きく上回った。政権与党が国民に対して投票を高圧的に求め、職場での不利益、当局の摘発などを恐れた有権者が行かざるを得なかった側面が大きいようだ。
国家選挙委員会によると、投票用紙に×印を付けるなど故意を含む無効票は全体の8.3%と前回選挙の1.6%を大幅に上回った。国民が無言の抗議をした格好だ。