噴火半年 草津温泉、客足減に苦悩
1人が死亡、11人が重軽傷を負った草津白根山の本白根山(群馬県草津町)の噴火から23日で半年。約2キロ離れた白根山も含め火山活動の高まりが続き、麓の草津温泉は客足の落ち込みに悩む。夏の観光シーズンに向け、観光団体は矢継ぎ早に誘客策を打ち出し、呼び込みに力を入れる。
7月中旬の夜、発光ダイオード(LED)で幻想的な雰囲気に包まれた源泉「湯畑」を大勢の人が眺めていた。浜松市の会社員、村野義行さん(47)は「火山の影響は少し不安だったが、温泉街の規模に驚いた」と笑顔を見せた。
だが、温泉街を巡る無料ガイドツアーを開催した草津温泉観光協会の職員は「例年より観光客は少ない」と語る。町によると、2017年度には過去最多の約321万人が訪れたが、噴火以降、減少傾向に。1~4月までは平均で前年比約5%減だったが、5~6月は約15%減と悪化した。
協会は打開策として、大道芸のイベントや、浴衣を着て温泉街を歩くと土産物店などで割引価格が適用されるといったサービスを相次いで企画。草津観光公社は7月から11月まで毎月26日に、草津最大の「西の河原露天風呂」の男湯を3時間混浴にし、家族連れやカップルの集客も狙う。
町が客足回復に向け最大の課題に挙げるのは、長野県と町を結ぶ「志賀草津道路」(国道292号)の再開通だ。エメラルドグリーンの湖水が美しい白根山の火口湖「湯釜」や標高2千メートル以上からの景色を目当てに「夏場はほとんどの観光客が使う道」(町観光課)。
4月20日に冬季閉鎖が解除されたが、2日後、白根山の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた結果、湯釜周辺の8.5キロは再び通行止めとなった。
県や町、気象庁、火山学者は7月13日、開通の是非を協議。「道路閉鎖が続き、『なんとなく草津は危ない』というイメージが付くことが怖い」(黒岩信忠町長)とする町は条件付きの通行止めの解除を求めたが、火山活動の精査が必要として、先送りとなった。
黒岩町長は「レトロと華やかさが融合した温泉街の魅力は下がっていない。町全体で観光客を呼び込む話題をつくっていきたい」と語った。〔共同〕