イスラエル軍、シリアの市民組織を救助 約800人が脱出
【カイロ=飛田雅則】シリアのアサド政権が攻撃を続ける反体制派の支配地域で人命救助にあたっていた市民組織シリア民間防衛隊(ホワイトヘルメッツ)のメンバーらが22日、同国南部からイスラエル経由でヨルダンに逃れた。イスラエル軍が救出作戦にあたった。ロイター通信などが伝えた。
ホワイトヘルメッツはアサド政権軍の攻勢で立ち往生し、危機的な状況にあった。イスラエル軍はシリア内戦に関与しない姿勢だったが、欧米諸国の要請で例外的に救出作戦を実行したという。
メンバーら約800人はヨルダンに入国後、英国やカナダなどの第三国に移送される見通し。アサド政権軍は反体制派の拠点を相次いで奪還。ホワイトヘルメッツが脱出したことは、政権側がシリア南部をほぼ制圧するなど優位にあることを示した。
ホワイトヘルメッツは欧米の資金協力を得て、シリアの反体制派の地域で、アサド政権軍やロシア軍の攻撃による負傷者の救助を続けてきた。脱出当時は、イスラエルの占領地ゴラン高原付近で救助活動に当たっていた。2017年にはノーベル平和賞候補にあげられていた。