SDGs閣僚級会合、推進の共同宣言採択
貿易巡り米は反対
【ニューヨーク=高橋里奈】国連が貧困の撲滅や男女平等などについて定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」の閣僚級会合が18日、閉幕した。「すべての目標のために緊急に行動を加速させなければならない」とした共同宣言を採択したが、米国は多国間貿易を巡る表記に反対、宣言に加わらなかった。米国は国連でも保護主義的な姿勢を示し、国際社会での孤立を際立たせている。
国連本部で16日から開かれた閣僚級会合では、各国が自国のSDGsの取り組みについて進捗状況などを話し合った。最終宣言では「世界貿易機関(WTO)のもとで普遍的でルールに基づき、開かれた、透明で予測可能、非排他的かつ公平な多国間の貿易体制を推進し続ける」との文章が盛り込まれた。
しかし米国は最終宣言案に反対。宣言の採択前に貿易に関する文章を削除したうえで「貿易は貧困を軽減し、持続可能な開発の推進に貢献することを確認する」とする修正案を提案した。ただ修正案への賛成は米国とイスラエルの2カ国のみで、最終的には貿易に関する文言を含めた当初の形の最終宣言が米国とイスラエルの2カ国のみの反対で採択された。
2030年を期限としたSDGsは、飢餓の撲滅、福祉や教育の普及、気候変動対策など17の世界共通の目標を掲げている。15年に国連で採択されて以降、閣僚級会合を毎年開き、目標の推進を確認する共同宣言を採択している。
トランプ政権は鉄鋼やアルミニウムへの輸入制限を発動するなどWTOのルールを軽視する政策が際立っている。17年の会合でも貿易に関する文言を巡って反発し、共同宣言に加わらなかった。
米国はこれまでも国連人権理事会や国連教育科学文化機関(ユネスコ)、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明している。トランプ政権は特に自国第一主義を掲げ、国際的な協調体制に背を向けている。グテレス国連事務総長は閉幕にあたる演説で「多国間主義は我々が直面する複雑で長期的な課題に取り組む唯一の道だ」と述べ、暗にトランプ政権を批判した。