消え去る業種、競争力はかけ算に
「40歳代男性、立ち上がっている」
「ここから先が車線、横断歩道はこの範囲」
中国・瀋陽近郊のオフィスビル。300人近い若手社員がパソコンに向かい、画面上の映像をマウスでなぞり続ける。
香港発の人工知能(AI)スタートアップ、センスタイムの「データ工場」だ。街頭カメラの動画1秒を24~30枚に分割し、人海戦術で意味をAIに教え込んでいく。すでに「数億人単位」(同社)の顔データを学習。そのデータに...
データ資源は21世紀の「新たな石油」といわれる。企業や国の競争力を高め、世界の経済成長の原動力となる。一方、膨大なデータを独占するIT(情報技術)企業への富と力の集中や、人工知能(AI)のデータ分析が人の行動を支配するリスクなど人類が初めて直面する問題も生んだ。
連載企画「データの世紀」とネット社会を巡る一連の調査報道は、大きな可能性と課題をともにはらむデータエコノミーの最前線を追いかけている。