日野町事件、即時抗告 再審決定に大津地検
滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性(当時69)が殺害された強盗殺人事件を巡る第2次再審請求審で、大津地検は17日、再審開始を認めた大津地裁決定を不服とし、即時抗告した。無期懲役確定後に病死した阪原弘元受刑者の遺族が申し立てた再審の可否は今後、大阪高裁で審理される。
地検の高橋和人次席検事は、即時抗告の理由について「申立書の中で明らかにする」としている。
元受刑者の長男、弘次さん(57)は「想像はしていたがショック。父の無罪が確定するまで闘い続ける」とコメント。伊賀興一弁護団長は「決定で捜査のごまかしが明らかになったにもかかわらず、再審開始を食い止めようとすることは許されない」と話した。
11日の地裁決定は「警察官の暴行や脅迫で自白した疑いがある」と指摘し、有罪の支えだった自白の信用性や任意性を否定。弁護団が新証拠として提出した法医学者の鑑定結果から「元受刑者が自白した殺害方法は遺体の損傷状況と整合しない」などと判断し、確定判決に合理的な疑いが生じたと結論付けた。
元受刑者は一、二審で無期懲役の判決を受け、2000年に最高裁で確定。再審の第1次請求は06年に退けられ、即時抗告審中の11年に75歳で病死し終結。12年に遺族が第2次請求を申し立てた。〔共同〕