満身創痍のペリシッチ 戦う姿勢 最後まで
どれだけ劣勢になろうとも、クロアチアの選手はファイティングポーズを最後まで崩さなかった。そんなファイターの最たるものがペリシッチだっただろう。
プレスの出足が緩まず、しつこく奪い返しにくる。相手にとっては一番嫌なタイプ。そして奪う、蹴るという一つひとつのプレーに跳躍感があるのはビーチバレーの経験のなせる業か。いっときとはいえクロアチアをよみがえらせた前半の同点ゴールにも、はじけるような躍動感があった。味方が相手ゴール前でつないでくれた球を、左に持ち出しすかさずシュート。ややボレー気味で放った弾道は、ゴール右へと一直線に飛んでいった。
準決勝で両足の太もも裏を痛め、満身創痍(そうい)での決勝だったはず。それも攻めの気持ちで克服するかのような奮闘だった。「ベストは尽くした。1失点目はプレゼントのようなものだし、前半は僕らの方がいいプレーをした。クロアチアの歴史で最高のものは残せた」。悔しさとともに、誇らしげに語った。
(モスクワ=岸名章友)