エムバペ、速さで圧倒 ペレ以来の決勝10代得点
エムバペという矢を携えていなければ、フランスもここまで体よく試合を運べなかっただろう。
受け身で守っていても、右へポンと出してエムバペを走らせれば一気に形勢逆転することができた。無造作なクリアボール風の縦へのキックも、エムバペなら追い付くからパスになってしまう。
59分の3点目はその強烈さをまざまざと見せつけた。ポグバが送ったクロアチア陣地奥への長いパス。これに猛スピードでエムバペが追い付いた。そこからのドリブルも猛スピード。ボールを持ち出すときの一瞬の速さで、DFをグイグイとかわす。その突進がポグバの得点の起点になった。
「いい準備ができていたから(決勝も)快適だったよ。楽しかった」。大物ぶりを証明したのは65分のゴール。正面のやや遠めから、目の前にDFがいようが構わず打ち抜いた。W杯の決勝で10代の選手が得点を挙げたのはレジェンドであり「王様」でもあるペレ以来。1958年スウェーデン大会でペレが記録して以来、60年ぶりの歴史的ゴールでもあった。
「若い世代にとっては大きな達成。でもまだ始まりにすぎないよ」。はや19歳での世界制覇達成に、野望も可能性もとどまることなく膨らむばかりだ。
(モスクワ=岸名章友)