東京拘置所前、近隣住民「真相語られず残念」
松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、63)の刑が執行された東京拘置所(東京都葛飾区)。普段は人通りが少ないが、「死刑執行」の一報を受けて多くの報道陣が続々と駆け付けてカメラを構え、小雨の中、10台を超す警察車両が慌ただしく敷地内へと入った。
近くを通った同区に住む自営業の男性(48)は地下鉄サリン事件に親族が巻き込まれた。比較的軽症で済んだというが、「裁判で真相が語られないまま刑が執行されたのは残念。複雑な思い」と神妙な面持ちで語った。
オウム真理教の元幹部、上祐史浩氏が設立した「ひかりの輪」が拠点とする東京都世田谷区のマンション前にも報道陣が詰めかけた。時折、心配そうに様子を見つめる近隣住民。険しい表情で建物へと視線を送る公安関係者の姿も見られた。
午前10時半ごろには上祐氏がマンションから出てきて姿を見せたが、無言のまま車に乗り込み走り去った。
同区の住民団体で教団の監視を続けてきた古馬一行さん(66)は「死刑は判決で決まっていたことで、けじめとして早く執行すべきだった。約23年で世界的にも類のない大量無差別殺人事件にようやく一区切りがついた」と話す。
一方、今も後継団体から分派した「ひかりの輪」について観察処分の取り消しをめぐる裁判が続いていることに触れ、「地域住民の不安は続いている」と話した。