夏休み海外旅行者4.1%増で最高 18年、消費は控えめ
JTB見通し アジアの伸び目立つ
JTBは5日、2018年の夏休み期間の旅行動向見通しを発表した。海外旅行者数は前年比4.1%増の283万人で、比較可能な調査がある00年以降で最高を更新しそうだ。渡航先は台湾や香港などアジア地域の伸びが目立つ。一方、旅行にかける費用は減少傾向にある。給与水準は上向いているが、景気の先行き不安などから海外旅行も「節約志向」が続いている。
JTBがアンケートや販売状況、航空会社の予約状況から、7月15日~8月31日の旅行動向を予測した。人気の渡航先は安くて近いアジア方面で、前年比で5.5%増える。なかでも香港やマレーシアは10%前後増える見込みだ。韓国は5%増。韓国と北朝鮮の融和ムードが高まっていることも一因とみられる。
出発のピークは8月11~12日になると見込む。働き方改革で休みが取りやすくなっていることも海外旅行者数を押し上げた。
1人当たりの海外旅行平均額は21万4500円と0.7%減る見通しだ。アジアは格安航空会社(LCC)の利用が多く単価が抑えられたほか、消費財の値上げやガソリン価格の高止まりを背景に旅行者の節約志向も根強い。海外旅行費は16年以降、燃油サーチャージの下落などを背景に21万円台まで下がっている。
国内旅行者数は7460万人と前年から横ばいで、平均旅行額は3万4000円と1.2%減った。今年は帰省目的の旅行者が多く、ホテルや旅館の利用が少なくなる見込み。割安で宿を借りられる民泊が増えていることも消費額の減少につながっている。
宿泊日数では「1泊2日」が最も多く全体の45.3%を占める。旅行先としては沖縄や東北、北陸などが前年の比率を上回っている。家族旅行が全体の7割を占めるが、一人旅や友人との比率も前年より伸びた。
エイチ・アイ・エス(HIS)によると、海外渡航先は10年連続でハワイが1位となった。家族連れだけでなく女性にも人気が高い。来年10月以降登頂できなくなるオーストラリアのエアーズロックは前年比4倍以上の伸びだ。阪急交通社では主力の欧州旅行だけでなく、サッカーワールドカップのあったロシアや、テロの影響が薄れつつあるトルコやモロッコなどの中東の予約が増えている。
国内ではイベントにひもづいた旅行先が人気だ。日本旅行は、明治維新から150周年であることや大河ドラマ「西郷どん」をきっかけに鹿児島や高知、山口へのツアーを企画し、九州や四国への旅行者が増えているという。