稀勢の里、秋場所で進退懸ける 8場所連続休場
大相撲の東横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦部屋=が5日、8日に初日を迎える名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)を休場することが決まった。年6場所制となった1958年以降では、横綱の8場所連続休場は2002年名古屋場所まで休んだ貴乃花を抜いて単独ワースト記録となる。
休場自体は妥当な判断だろう。稀勢の里は名古屋入りしてから幕内下位力士らと申し合いをこなしてきたが、番数は10番前後と少なく内容も精彩を欠いていた。
横綱審議委員会からは休場期限は設けられていないうえ、6月にはなかった巡業も今月末からは1カ月間みっちり日程が詰まっている。8月は体力づくりや相撲勘を取り戻す絶好機。状況的にも進退を懸けるのは9月の秋場所の方がよかった。
左大胸筋などを痛めてから1年3カ月が経過、元通りになることはもはやないだろう。ならばどこでカバーするか。数々のけがを乗り越え38歳まで現役だった元大関魁皇の浅香山親方は「足をしっかり前に出して体で圧力をかければ、左腕にかかる負担も減る。初心に帰って押されない下半身をもう一回鍛え直す必要がある」と指摘する。
場所前は初めて宮城野部屋へ出向いて、ぶつかり稽古で白鵬の胸を借りた。稽古でのし上がってきたのが稀勢の里だ。以前のように砂まみれになりながら、どこまで自分を追い込めるか。復活のカギは原点回帰の稽古にある。
(金子英介)