文科省局長を受託収賄容疑で逮捕 見返りは子ども合格
東京医科大に便宜 東京地検
文部科学省の私立大学支援事業の選定で便宜を図る見返りに自分の子供を大学入試で合格させてもらったとして、東京地検特捜部は4日、同省科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)=東京都港区=を受託収賄の疑いで逮捕した。
会社役員、谷口浩司容疑者(47)=同区=も同ほう助の疑いで逮捕した。特捜部は2人の認否を明らかにしていない。
佐野容疑者の逮捕容疑は、文科省官房長だった2017年5月、東京医科大(東京都新宿区)の関係者から支援事業の対象選定で便宜を図るよう依頼され、見返りとして18年2月の入試で自分の子供の点数を加算して合格させてもらった疑い。
特捜部は合格者の地位を与えたことが賄賂にあたると判断。東京医大関係者は在宅で捜査する。
佐野容疑者は、医療コンサルティング会社の取締役だった谷口容疑者を通じて東京医大関係者と知り合ったという。
文科省などによると、問題の支援事業は大学の看板となる研究の推進などに補助金を出す「私立大学研究ブランディング事業」。17年度は188校が申請し、東京医大を含む60校が選定された。
佐野容疑者は1985年に科学技術庁に入庁。山梨大副学長や文科省会計課長などを経て2016年6月に同省官房長、17年7月に科学技術・学術政策局長に就いた。同省は4日付で同容疑者を大臣官房付とした。戸谷一夫事務次官が局長事務取扱として兼務する。
林芳正文科相は4日、省内で取材に応じ「現職の職員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、文部科学省としては今後の捜査に全面的に協力したい」と述べた。
東京医大は「東京地検による捜査を受けていることは事実であり、厳粛に受け止めている。捜査に全面的に協力している」とコメントした。