TPP11関連法が成立 国内手続き完了、年内にも発効
米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の新協定「TPP11」の関連法は29日午前の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決・成立した。協定本体の国会承認はすでに終わっており、TPP11の国内手続きが事実上完了する。政府は年内の発効をめざし、各国に手続きの加速を促す。
TPP11は農作物や工業品の輸出入の関税を引き下げるほか、ビジネスのルールを統一する内容だ。日本の消費者にとっては安い肉や野菜が手に入りやすくなる。日本企業にとっては海外での投資や取引がやりやすくなるメリットがある。
TPP11関連法は関税引き下げで打撃を受ける畜産農家への補助を条文に明記するほか、著作権の保護期間の延長や、映画・漫画の海賊版の取り締まり強化などを盛り込んだ。
TPP11は日本、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランドの11カ国が3月に署名した。このうち6カ国以上が国内手続きを終えれば60日後に発効する。
日本政府は近く関係政省令を改正し、7月上旬にも協定の事務局を務めるニュージーランドに国内手続き完了を通知する。手続き完了はメキシコに次いで2カ国目となる見通しだ。
28日の参院内閣委員会では日米の新しい通商協議「FFR」をにらんで、TPP11の合意水準を上回るような米国の要求は「断固として拒絶」することを求める付帯決議を採択した。政府はTPP11の合意内容を「譲れない一線」ととらえて協議に臨む。
日米を含む12カ国は2016年2月にオリジナル版TPPに署名。日本は130時間を超える国会審議を経て国内手続きを終えたが、トランプ米大統領が17年に離脱を表明して発効できなくなった。日本は残る11カ国の再交渉を主導。オリジナル版TPPの内容のうち米国の要求が通った22項目のルールの効力を凍結して、TPP11をまとめた。関税削減の約束はそのまま維持した。