グーグル、中小企業も広告出しやすく 広告機能を刷新
【シリコンバレー=中西豊紀】米グーグルは26日、専門知識が無くてもキーワード検索や動画に対応したネット広告が簡単につくれる新サービスを発表した。人工知能(AI)技術を使い、複雑な広告コンテンツの作成を大幅に自動化にした。IT(情報技術)化を進めたい中小企業などの活用を見込んでおり、ネット広告の裾野が広がりそうだ。
「スマート・キャンペーン」の名称で7月に米国などで開始。日本では年内をめどに導入する。広告主がグーグルのソフトウエア上で「来店者を増やす」「販売を増やす」といった広告の目的を指定するなど所定の手続きを進めると、AIを通じて最適な画像や広告文を設定してくれる。
例えば、店に電話をかける人を増やす目的の広告であれば、キーワード検索で表示される広告内に、クリックするだけで電話につながる機能が埋め込まれる。記者会見したグーグルのマネージングディレクター、ダン・テイラー氏は「中小企業が使いやすい仕組みにした」と狙いを説明した。
グーグルは同時に、検索内容に基づく広告表示サービスとして知られる「アドワーズ」の名称を「アド(広告)」に変更。2000年からある主力ビジネスの名前を消した。
今後は文字検索だけでなく、動画共有サイトのユーチューブや地図情報のグーグルマップなどネット上の多様なサービス内に広告の表示先を広げていく考え。「スマート・キャンペーン」もその一環となる。
グーグルにとって広告ビジネスは売上高の8割以上を占める重要な収益源だ。同社はこの日、大企業が主に使う「ダブルクリック」と呼ばれるサービスも刷新し、顧客分析や出稿先の絞り込みをさらに容易にした。広告主にとって使いやすい機能にし、ネット広告市場での基盤をさらに固める狙いがある。
ネット広告を巡ってはプライバシーの問題が指摘されるが、グーグルは「欧州の一般データ保護規則(GDPR)にもきちんと対応している」(テイラー氏)と説明。媒体としての信頼性を高めることでむしろ事業機会が広がるとの自信を見せた。