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ラグビーW杯まで1年 3連戦で見えた収穫と課題

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ラグビー日本代表が6月のテストマッチ3連戦を終えた。イタリアとジョージアという手ごわい相手と戦い、2度の完勝と、1つの惜敗。来年のワールドカップ(W杯)に向けて日本が得た収穫と課題も、同じような割合になったのではないか。

「セットピースが大幅に安定」

「(テストマッチを戦った)この1カ月で、セットピースが大幅に安定した」とプロップ稲垣啓太は話す。最大の成果はこの攻守の起点だろう。

まずはスクラム。マイボールは3試合で計21度あり、その全てできれいにボールを出せた。

最後のジョージア戦だけは、相手ボールのスクラムで4度の反則を取られた。斜めに角度を付けるグレーゾーンの押し方に対応できなかったり、歓声で審判のコールが聞こえなかったりしたためで、こちらは改善が必要。しかし、世界屈指のスクラム強国に、自分たちのボールを全て確保できたのは大きい。

ラインアウトの獲得率も3試合で約90%に達した。しかも、そのうち9割はクリーンキャッチ。狙い通りの攻撃につなげることができた。

「(ジャンパーがどういう動きをして取るかという)サインは変わっていないが、動く頻度が増えた。スピード、ディテールの部分が上がってきた」と稲垣。確かにジャンパーが前後に3、4度フェイントを掛けてから投げ入れるなど工夫が目立った。

このプレーが研ぎ澄まされていたのが2015年W杯の日本だった。獲得率は全チーム中3位の93%。トライの過半数もラインアウトから生まれた。

当時を知るロックの真壁伸弥が5月にこう話していた。「日本には高さがないので、細かいところを練習から常にやらないといけない。(細部について)口を酸っぱくして言う人がジョセフ・ヘッドコーチ(HC)だけにならないよう、選手からしっかり声を出していきたい」。言葉通りの成長を見せられた。

15年当時を上回る側面も出てきた。「相手ボールにプレッシャーを掛けられる時もあった」と稲垣。ラインアウトで相手が投げ入れた球を奪った回数は、3試合で計6度。15年W杯は4試合で3度しかなく、全チーム中のワースト2位だった。攻守で機能した今回のラインアウトを1年後の本番で見せられれば、日本の戦いはずっと楽になる。

課題だった組織守備も向上した。昨秋から導入した速い防御ラインを微修正。前進の速度を上げ、さらに"攻撃的"に変えた形が機能した。最後のジョージア戦のタックル成功率はチームの目標である85%を上回る約90%。相手が本来のFW勝負にこだわらなかったとはいえ、完封勝利の要因となった。

いずれの成長も、ジョセフHCが「兄弟チーム」と呼ぶサンウルブズと代表の一体性が生きた。

スクラムは、1年半前に就任した長谷川慎コーチのもと、一貫した組み方の習得に努めてきた。「慎さんと出会ってからこつこつと積み上げたものがどんどん進化している」とフッカー堀江翔太。ラインアウトと組織守備も、スーパーラグビー(SR)の今季序盤で苦戦しながら、徐々に改善してきたものがテストマッチで実った。

今季から日本代表に加え、サンウルブズのHCも兼任して強化を進めてきたジョセフHC。27日、腰の手術のために離日する直前の記者会見で改めて強調した。「SRが代表の強化の基盤をつくってくれた。その果たした功績は大きい」

サンウルブズ効果、内面にも

今年はSRの改編も追い風になった。リーグのチーム数削減により、他国のチームのレベルが向上。昨年より、さらに歯応えのあるチームとの対戦が、日本の選手を鍛えた。

サンウルブズの存在が他国に認められつつあることも大きい。「(昨季優勝の)クルセイダーズとかは、去年までサンウルブズ戦に1.5軍や2軍を出していたけれど、今は本気のメンバーで来てくれる」とSH田中史朗。「イタリア、ジョージアの代表より、サンウルブズの相手の方が強い」とプロップ浅原拓真もいう。

視覚化しにくい面でも効果が出ている。「選手がHCから離れ、自分たちでやるようになった。(選手数人でつくる)リーダーグループは15年W杯の時より素晴らしい」と真壁。「SRでレベルの高い試合をどんどんやっている。変わっていかないと勝てない」のが成長の理由だという。こちらもサンウルブズ効果という説明だ。

「選手がコーチから離れ、自ら率先してやる。特別なものがこのチームに生まれかけている」とジョセフHCも選手の自立心に目を細める。

SRは戦い方の「実験の場」としても機能した。

日本代表がこの6月から取り入れた新たな攻撃隊形がある。インサイドCTBを最初のパスの受け手に配置。(1)近くのFWへのパス(2)背後のSOへのパス(3)自ら突進――などの選択肢をちらつかせ、相手を幻惑する。従来はFWが務めた位置だが、よりパス能力の高い選手が務めることで守備側を引き付け、崩しやすくなる。

発案者の田辺淳コーチによると、まずテストマッチ直前のSRの試合で試行し、効果ありと見て代表でも採用したという。「パスがうまい選手を最初の受け手にすると、アタックのバリエーションをより増やすことができる。パスの回数を増やすことで日本の強みももっと生きる。効果はあった」と田辺コーチは言う。

サンウルブズという「準代表チーム」で世界屈指の国際リーグを戦って代表強化を進めるという、他競技にもあまり例のない試み。参入3年目でようやく最適な形を見いだしつつある。

W杯対戦相手に絞った対策も

イタリアとの初戦は「ティア1」と呼ばれる強豪国から、現体制下で初の勝利となった。自信になる白星だが、W杯で戦うアイルランド、スコットランドは同じティア1でもさらに手ごわい。残る課題の克服は必須だ。

例えば、キック戦術のさらなる向上。敗れたイタリアとの第2戦ではボールを高く上げるハイパントを9本蹴り、マイボールになったのは1度だけ。キックの間尺が合わず、競り合うことすら難しいキックがほとんどだった。

もっと大きなテーマもある。一つが長期的な身体強化。SRでの戦いでコンタクトの技術自体は上がっているが、「チームの筋肉量、筋力に大きな伸びはない」と日本ラグビー協会関係者。15年W杯までの日本は持久力を伸ばしながらも、FWの平均体重を約10キロ増やした。日本のベースは上がっており、田辺コーチも「今月の試合ではフィジカルでは互角に渡り合えた」と話す一方、「(代表としての合宿期間が長くなる)来年、さらに伸ばしていかないといけない」と話す。

「いくつかのポジションで選手層が足りない」と話すチーム関係者もいる。特にバックスのキーマン、SO田村優、CTBラファエレ・ティモシーのバックアップがやや薄いとみられている。久々の復帰で安定感を見せたCTB立川理道を中心に複数人が多くの位置をカバーできる体制を整えたい。

W杯の対戦相手を想定した具体的な準備はどこまで進んでいるか。前回大会は、3年前に1次リーグの組み合わせ抽選会が終わると間もなく、対戦相手をイメージした練習が始まった。一部の選手にはW杯での具体的な起用法と求めるプレーまで、具体的に指示があった。

今のチームでは、アイルランドやスコットランドを具体的にイメージした練習はさほど行われていない。SR参戦でほぼ毎週のように試合があり、従来のやり方は難しくなったが、準備は早いに越したことはない。

もう一つの心配事もある。ジョセフHCと、日本ラグビー協会の強化委員会との間のあつれきは、関係者の間で周知の事実になっている。今の状況のままで日本のラグビー界が一丸となってW杯を戦えるのか。こちらも早めに手を打つべきだろう。

(谷口誠)

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