万達、映画事業を集約 一体化で競争力強化
中国市場、ハリウッド頼み強く
【大連=原島大介】中国の不動産大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)は映画事業を集約する。傘下の映画館チェーン会社が、グループの製作会社の株式を株式交換方式などで取得する。取得額は116億元(約1940億円)。中国の映画市場は成長が続くが、集客は米ハリウッド作品頼みだ。映画館事業でつかめる観客のニーズなどを製作事業に生かし、競争力強化を狙う。
深圳証券取引所に上場する映画館チェーン中国最大手、万達電影が25日夜、発表した。万達のグループ会社が保有する万達影視伝媒の約97%の株式を譲り受ける。万達電影が新たに発行する約89億元相当の株式を既存株主に割り当て、残りは現金でまかなう。
映画館では人気の出てきた映画や観客の反応、客層など最新動向を把握できる。万達は事業一体化により、こうしたヒットに必要な情報を素早く製作現場に伝えていく。映画館の設備に製作現場側の要求を反映させていくこともめざす。
中国の映画市場は中間所得層の拡大に伴い、成長を遂げ、2017年の興行収入は16年比15%増の523億元で、近く最大の北米市場を抜くとされる。一方、集客は年間の上映本数が数十本に制限されるハリウッド映画に依存する。昨年上映された中国映画は約千に上るが、興収に占める比率は5割にとどまった。
米中両政府は現在、今年以降に中国で上映するハリウッド映画の本数について、協議を行っているもよう。当初は制限が緩和される見通しだったが、両国の貿易摩擦が激しさを増すなか、逆に減るとの見方が出ている。
万達は源流の不動産事業に見切りをつけ、娯楽産業に力を入れる。映画事業は中核事業の一つで、映画館チェーンとしては中国のみならず、世界一の規模を誇る。米中協議の行方は経営に響きかねないだけに、製作から上映までを一元化することで、事業の相乗効果につなげる。