2度追いついた西野ジャパン、悔しさと手応えと
〈日本2-2セネガル〉白星発進したコロンビア戦からのいい流れに横やりを入れぬよう、日本は先発布陣に同じ11人を並べた。しかし、初戦は相手に出た致命的な過失が、今度は日本の方に生まれた。
11分、クロスをクリアしようとした原口が頭に当て損なう。ボールは相手の目の前にぽろり。シュートはGK川島の正面だったが、今度は両手のパンチングをうまくミートできず、エースのマネに押し込まれる。ミスの連鎖で先制を許した。
「完全に自分のミス」と悔やむ川島の失策を取り返す日本の反撃は、前半半ばに始まった。香川が守備網の隙間でボールを受け、柴崎が正確な縦パスで好機を演出する。
34分、長友が左サイドを疾走。柴崎からの長いボールを相手に寄せられながらキープすると、乾につなぐ。左の45度。乾得意の位置からのシュートは左に緩やかにカーブし、GKの手の先を抜けてゴール右隅へ。日本を生き返らせる同点弾が生まれた。
後半、互いにチャンスの多い展開の中で先手を取ったのはセネガル。得意のスピードを生かした攻撃からだった。71分、左SBサバリがゴール前に進入してクロス。最後は逆サイドを駆け上がったSBワゲが勝ち越し点を決めた。
それでも日本は諦めない。再反攻は西野監督が後半に切った2枚のカードから生まれた。78分、クロスに岡崎が競り合ってクリアミスを誘う。最後は乾のクロスに、フリーの本田が合わせてフィニッシュ。「人もポジションも変えないと変化がないと思ってた」という監督の狙い通りの同点劇になった。
互いに持ち味を出し合った好勝負でのドロー。日本の選手の心中に、手応えと悔しさが交錯する。柴崎は「悔しい。勝てる試合だった」と言いながらも、「最低限、勝ち点1を取ったのは評価できる」と話す。
もう1つ、胸に沸き上がるものがある。それは自分たちの戦いぶりへの自信だ。長谷部主将が言う。「チームは非常に落ち着いているし、先制されても自分たちが何をしないといけないかははっきりしている。誰が出ても一体となって戦えているという感覚がある」
特に、追いつかれてから勝ち越したコロンビア戦に続く、後半の勝負強さが光る。試合途中の劣勢を盛り返す反発力は、今回のチームの色なのか。「前半の立ち上がりにちょっと腰が引けていたのは否めないが、良くそこから盛り返した」と吉田。「リードされながら2回追いついたのはチームの良さだと思う」と昌子も声を合わせる。
16強へ向けて、日本がつかんだのは勝ち点1だけではない。この舞台で戦う力があるという実感。1得点1アシストの乾が言った。「次の試合でしっかり勝って予選突破したい。それができるチームだと思う」(時間は非公式)