セネガルの役者、フランス仕込み 年代別代表も経験
セネガルはフランスと植民地・宗主国の間柄だった歴史を有する。そのつながりはサッカーにおいても選手や指導者の交流に反映されている。
イタリアのナポリでプレーするCBクリバリはフランス出身で、20歳以下(U-20)フランス代表でもグリーズマンらともプレーしている。A代表へ進むにあたり、親の国籍地であるセネガル代表を選んだ。
ポーランド戦で得点したFWニャンもU-17世代などでフランス代表として戦っている。選手の多くは移民の息子としてフランスで生まれ、同国の育成組織でサッカーを学んだ末に、欧州各国のビッグクラブへ巣立っていった。
セネガルの各選手は幼少時から身体能力任せにならず、規律も吸収している。「守備の意識が高く、連動もしている」と長友も驚くほどだ。「我々の勝因はディシプリン(規律)。フランスが我々を鍛えたのだ」。そう語るシセ監督本人も現役時はフランスでプレーした。セネガル代表主将として8強入りした2002年W杯ではフランス人のメツ監督に仕えた。これだけ人の交流が濃ければ、おのずとサッカーのスタイルや実力も「世界基準」に近づいていく。
枠に収まりきらない驚異的な身体能力の一方で、組織力としての意思統一や集中力に欠ける。ひとたび崩れ始めるともろい。これまでアフリカ勢にはそんなレッテルも貼られてきたが、セネガルにその印象は薄い。戦術やトレーニング理論が瞬時に駆け巡るグローバル時代、アフリカは決して未開の地ではない。逆にフランスの新星FWエムバペは親がカメルーン生まれ、MFポグバも親はギニア出身と、人材の多様化も進む。
日本が立ち向かう難敵は、アフリカ勢というより「第2のフランス」と考えた方がいい。(岸名章友)