対セネガル、仏で磨いたダイナミズム SB酒井宏
【エカテリンブルク=岸名章友】日本代表は22日、24日午後8時(日本時間25日午前0時)からのセネガル戦へ向けて試合会場のエカテリンブルクに移動した。歴史でもサッカーでもフランスと縁が深いセネガルの強みがスピードあふれる攻撃やカウンター。「スペースが生まれたとき、どれだけ仕事をさせないか」。マルセイユでフランスのサッカーに触れている酒井宏の感覚を、セネガル対策に生かしたい。
セネガルの速さを物語るデータがある。日本の1次リーグ初戦でトップスピードが時速30キロメートルを超えたのは原口と長友の2人で、原口がただ1人同32キロメートル台に達した。セネガルは初戦で時速30キロメートル以上のトップスピードを出したのがマネなど4人おり、FWのニャンとサルはそれぞれ同32.62キロメートル、同32.40キロメートルという瞬発力を示した。前方さえ開ければFW陣は疾風のごとく襲いかかる。
腰が引けて下がるのもよくないが、両SBは特に自分の背後を空け過ぎないよう細心の気配りが必要になる。「(ボールを)取り切れないなら遅らせる、位置によってはファウルででも。守備は激しくやりつつも冷静に」と酒井宏は念を押す。
柏から欧州へ巣立ち、マルセイユで2年連続30試合以上出場とフランスの水にも慣れた。攻めも守りも欧州基準に照らして見劣りしないダイナミズムがある。アフリカ系選手とぶつかり、食い止めるのも日常のこと。ただ、そうしたつわものを相手にするのに「慣れることはない」という。「身体能力が高いなかでもそれぞれ特徴は違い、ピッチで瞬時に判断するしかない。速いなら自分の前でボールを持たせるなど、相手へのチェックの仕方を(試合中に)自分で切り替えなければ」
前で持ってくれているうちはトップスピードで裏へ抜けられるリスクは少ない。駆け引きを駆使し、頭も働かせて速さを殺す。外国人FWのそんな手なずけ方を日々の対戦から学んできたのだろう。生来の恵まれた体格に加えて体任せでない守り方を身につけたなら頼もしさは増す。知的に感化されてフランスサッカーのエッセンスを吸収した選手なら、セネガルだけでなくここにもいる。