唐の書家、顔真卿の「祭姪文稿」 19年1月に日本初公開
中国・唐時代に活躍した書家、顔真卿の肉筆作品で台北の故宮博物院が所蔵する「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」が、2019年に東京国立博物館(東京・上野)で開かれる特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」(日本経済新聞社など主催)に出品されることが決まった。わずかしか現存しない顔真卿の肉筆の中でも傑作と称される同作の公開は日本初となる。
顔真卿は、玄宗・粛宗・代宗・徳宗の4人の皇帝に仕えた官僚であり、中国の書道史に名を刻む名書家。「祭姪文稿」は安史の乱(755~63年)で犠牲となった親族を悼んで50歳の時に書いた草稿で、顔真卿の感情の高ぶりが率直に表れている。書聖・王羲之の代表作「蘭亭序」と並び称される名品で、歴代皇帝に守られて奇跡的に現代に伝わった。海外では1997年、米国のワシントン・ナショナル・ギャラリーで展示された。
「顔真卿」展は2019年1月16日から2月24日まで開催。中国・東晋時代の王羲之に続く欧陽詢ら初唐の三大家や、その後に独自の筆法を創案した顔真卿の作品を通して書の普遍的な美を確立した唐時代に焦点をあてる。