コロンビアに雪辱の日本　見事だった後半の挽回

開始早々の相手の退場に、1点のリード。想像もできないような追い風があったのに、前半の日本の試合運びは良くなかった。パス回しのテンポが遅く、ボールを縦に運べない。決定機は1度だけ。本来なら3、4度はチャンスをつくり、相手の心胆を寒からしめるとともに、走り回らせて体力を奪いたかった。

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攻撃をシュートで終わらせられず、プレッシャーを受けて蹴らされた。ボールの失い方が悪いから逆襲を浴びる。ファルカオが浮き球に合わせた2度のピンチ。パスがほんの少し短ければ、完璧にミートされていた。

リードを守ろうと慎重になったことが裏目に出た。前回大会のギリシャ戦でも日本は1人少ない相手に腰が重く、0-0の引き分けに終わった。そのとき同様、状況への対応力が足りなかった。

FKを直接決められた失点シーンも、以前からの課題が出た。ゴール周辺での安易な反則は大会前の親善試合から多発している。今回はやや微妙な判定ではあったが、石橋をたたかなければいけない場面だった。

さえない前半だった分、後半の挽回が見事だった。パスのボールスピードは上がり、縦への推進力も出た。カットインしてシュートを打った乾や、原口の仕掛けも目立った。勇気を持って攻めようという意思が統一されていたから、勝ち越し点につながるCKも獲得できた。15分間のハーフタイムで、適切な修正がなされたのだろう。

大迫にゴールが生まれた意味も大きい。ポストプレーの貢献で前回大会から引き続いて起用されているが、得点はゼロだった。1点取ることで本人は落ち着ける。相手からのマークが集中することで、他の選手のチャンスは逆に増えるだろう。

コロンビアの選手交代も試合のあやだった。前半のうちに1人を交代。中央のキンテロをサイドに出し、攻めを活性化した采配は見事だった。しかし、後半途中から入れたロドリゲスとバッカには速さがない。ファルカオも疲労し、前線は完全にスピード不足。日本に脅威を与えることも、セットプレーを取ることもできなくなった。

3月のフランス戦で0-2からの逆転勝利を挙げたコロンビアには、チームの一体感があった。この日の戦いからはそれが全く感じられない。軽率な退場が選手のいらだちを生み、チームの結束にもヒビを入れたのかもしれない。

逆に日本には一つになって戦っている様子が見てとれた。ハリルホジッチ前監督の解任理由が一体感の欠如だった。大会直前の荒療治に一定の効果はあったということだろう。両チームの対照的な心理状態は、チームスポーツの難しさと奥深さを示してもいる。

予想以上のいい出だしとなった日本だが、今後試合における禁止事項もはっきりした。勝ってカブトの緒を締めてほしい。

（サッカー解説者）